毎度まいど言ってますが、エンジンが不調を訴えてなければエンジン屋なんて特に仕事はありません。
それに、ハイスキルのチームとライダーの方達は、レース前に全ての準備を整えるので、
少しでも不調や距離数による不安があったら、大事なレース前にメンテに出すのです。
けれども、やっぱりレース好きには事務所や工場でジッとしているなんて、できやしないですww
エンジンが動くものである以上、動いている現場=サーキットこそエンジン屋が出かけるべき場所なんです。
その現場、私的にメインレースとなるJP250クラスで、YZF-R25を駆る
チタニウムパワー&Kurodaya #19 久保直諒選手が、JP250クラスで優勝!
鈴鹿選手権JP250クラスにおいて、土つかずの
全勝優勝を成し遂げ、
岡山選手権に続いて、鈴鹿選手権も加えた
Wチャンピオンを獲得しました!!!!
チーフメカニックにして、エキゾーストマフラーKurodaya代表の黒田さんは、常にマシンに付きっきりで、
ECUの事、サスペンションの事、スプロケットやタイヤの空気圧の管理はもちろん、
レーススケジュールや天候による作戦など、綿密にライダーと打ち合わせを繰り返して、完璧なマシン造りを行い、
ライダーの直諒は、それら全幅の信頼を置いてマシンコントロールに集中し、見事なまでの勝利を重ね、
ついに鈴鹿選手権JP250クラスで、完全優勝を成し遂げたのです。
2人が最大限の力を発揮できるよう、久保さんや中惠さんといった裏方の人たちがフォローに回り、
チームへの多くのスポンサードや応援の中にあって、エンジンというファクターを担当させて頂いたのは、
非常に光栄であり、身に余る感謝の気持ちで一杯です。有り難うございました。
そして、一番速かったという事は、一番「全開時間」が長く、一番酷使されたエンジンであるという事。
YZF-R25エンジン担当者として「これ以上ない題材」を診ること触ることは、とても勉強になる事です。
彼らが成し遂げた成功に胡坐することなく、日々の勉強を怠らず、自分自身の作業を反復して見直し、
これからも彼らのスピードに置いて行かれないよう、努力を続けようと思いました。
そして、ST250時代からお付き合いさせて頂いているNo17ピットの皆様も、確実に速くなっております。
ファンランという「お楽しみレース」から、ガチな選手権レースまで鈴鹿の250のレースを網羅し、
バイクと付き合うお仕事の、モチベーションと技術の向上が速さに繋がっているのです。
そんな、誰よりも距離を走るエンジンをメンテさせて頂くことも、私の技術の一握を担っております。
距離を多く走る=小さなトラブルがいち早く出て、その先の大きなトラブルを未然に防ぐことができるのです。
今年1年、お客様エンジンでブローが1度も無かったことは、そんな距離を管理している方達のお陰なんです。
多くの勉強をさせて頂き、感謝・感謝でございます。 有り難うございます。
また、ST600クラスでは
TeamALTEC NECTO T-craft ♯46 小谷咲斗選手が、
後続を22秒引き離し、ことし3戦目にして
初優勝を成し遂げました!!
ケガで参戦を断念したTERU君は、ウイーク中ずっとサスの事やOHLINSの特性なんかをアドバイスし、
チーフメカニックの芳澤さんと一緒に、サッキーが気持ちよく走れるようアレコレ頭を悩ませ、
監督の山本さんやチームオーナーの高松さんと一緒に、マシンを良くする努力をした結果、
サッキーはR6で初めての雨にもかかわらず、インタークラス以上の走りでTOPを独走!
追い付いてきたライダーを自滅させるほどの速さをもって、後続と22秒大差で初優勝を成し遂げました!
しかも、高校生であるがゆえ今年は4耐含めて3回目のレースで!この走り。
とにかく応援して信じていたメンバーですら、速すぎるんじゃないか!?と心配するスピード。
そして、そのスピードに負けない強く冷静なハートで、走り切ったのでした。
その彼へ大きな期待とプレッシャーに、エンジンが耐えてくれてホント良かったです。
正直、サッキーが使ったR6エンジンは、激戦のST600クラスの中で1番ではありません。
それでも、エンジンが最後まで不調を訴えず、ノントラブルで走り切ってくれたこと。
嬉しい優勝に花を添えられたことは、エンジン担当者として誇りに思えます。
チームとライダーに、大きな感謝の気持ちです。ありがとうございました。
日本全国で行われる「CBR250Rドリームカップ」の上位者だけが参戦権を得ることが出来る
グランドチャンピオン大会に、今年は2人の若いライダーが連れてってくれました!
HSR九州代表 ♯35チームバイク屋ヨシタニデンソー 永島 潤太郎選手
筑波サーキット代表 ♯33エスパルスドリームレンジャー 佐藤進之介選手
ジュンタローは、2度目の鈴鹿ながらスタートからTOPグループに加わり、
ファステストラップを叩き出したタイミングで後続に追突されてレースを終えましたが、
これもまた高みに向かうための勉強と割り切り、気持ちの良い笑顔で九州に帰って行きました。
シンノスケは、フロントフォークを両方曲げる転倒から少しずつ調子を戻し、
スタート~3周の間に10台、完走扱い含めても実に17台の転倒者が出た波乱のレースで、
落ち着いたマシンコントロールで確実に走り切り、全国ランカー42台中/13位完走を果たしました。
単なる地方選の順位ではなく、全国のチャンピオン・上位ランカーが集まる大会での13位は評価に値します。
もちろん本人もチームも満足はしていないでしょう。
しかしながら、レースは完走して初めて結果が出て、実績が残るもの。
いくら速くとも、成績が残らなければ実績無しも同じ。
何度もなくファステストラップを叩き出しても、完走してポイントを稼がなければランキングも残らず、
ランキングに記録が無ければ、いくら速くとも「グラチャンに参戦する権利」は無いんです。
歩みはそれぞれ違うけれど、2人が目標に向かう成長を見守ることができ、非常に嬉しく思います。
CBR250Rドリームカップは、身体が出来ていない若者がミニバイクからステップアップするには最適なクラスです。
2気筒が出ても、この単気筒でのCBR250Rドリームカップは残して欲しいと感じました。
喜びのご報告が出来る反面、悔しい思いをしている選手も大勢います。
多くの選手が集まるレースは、喜べるのは勝った人だけ。
それ以外は、99%の方達が悔しい思いをしているのです。けど、それがイイ。
普通に暮らしていて「負けた」と感じる事は、リアル社会では少ないです。
負けて悔しいから努力もするし、アイデアも作戦も出てくる。
切磋琢磨できる世界で、日夜努力と試行錯誤を繰り返すことが喜びです。
明日も頑張ります!!!