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空燃比センサーのヒーティングの事とか

空燃比センサーのヒーティングの事とか

ここ最近、ミニバイクでも一般的になってきたインジェクションマシン
ロードレーサー、MXレーサーでは10数年前から一般的なのですが、
セッティングに役立つツールとして「空燃比センサー」を用いることが多いのですが、
どうも使い方を誤って破損させてしまう方や、数値ありきで混乱してしまう方が多いようなので、
知人やお客様に説明する意味も含めて、私なりの考え方を整理しておきますので、
自身のレーススタイル、車両等に置き換えて参考にしてください。

空燃比センサーのヒーティングの事とか

まず空燃比センサーですが、聞かれたらお勧めしているのが安価で手に入りやすいPLXです。
基準は、センサーやモニターが転倒などの不意なトラブルでも手に入りやすいこと。ですかね。
ネットで調べると、センサー&モニターのセットで3万円くらいでしょうか。
PLXの場合は、真ん中に数値。周囲に色でベストから外れているなどの表示をしてくれます。

ワイドバンドで空燃比:10.0~15.0くらいまで表示してくれます。
理想空燃比、理論空燃比、トルク空燃比など言い方はさまざまですが、
だいたい12.5~13.5あたりをリニアに表示してくれる物であれば、良いかと思います。

空燃比センサーのヒーティングの事とか

センサー自体の取り付け位置は、理想的には「エキパイ出口~150mm以内」なんでですが、
実際の走行車両ではラジエターや地面との距離などで制約も多く、
それよりも距離をとることが多くなります。
GROMやNSF100では、シリンダー横やケース下になってしまったり、
4気筒勢であれば、集合部の後ろ・ステップの下などでとっている人も見かけます。

空燃比センサーのヒーティングの事とか

ただ、こう言った場合エキパイ直後で計測した数値とは大きく違い、
かつ数値の信頼性も低くなっていると判って使ってください。

たとえるなら、エキパイ直後で12.5~12.7近辺をリニアに数値が変わっていったら、
ステップ下などは、13.2~13.4近辺をポツポツと移動している・・・そんなイメージです。

よくある勘違いが、
「エキパイ直後は、数値がバラバラ動くから見にくい!」
「けど、ステップ下は数値が安定しているから良い」
という話。
コレはサイレンサーからの反射(外気)が混入しているためで、
決して安定しているわけでも、理論空燃比に近いので良い!という訳ではありません。
外気が混入しているため、実際の数値の信頼性も落ちているんです。

でも、ステップ下はダメ。エキパイ直後じゃなきゃダメ。という短絡的な答えではありません。
計器類なので、あくまでも「参考数値」として「自身のデータ」に生かしておく数値で、他人や文献に出ている数値と比較して、セッティングを変更しよう・・・というのは認識が違います。

走行しつつ、車速やラップタイム、加速度やスロットルフィーリング等とライディングがマッチする空燃比をデータとして残しておき、サーキットや天候が変わった時に、マップをオフセットする参考数値として利用したらイイんです。

PLX本体にはロガー機能はありませんが、Drogerさんなど各社ロガーメーカーではPLXやイノベート等の一般的な空燃比センサーのロギング方法が掲載されていますので、参考にしてください。


それと大事なのは、取り扱いです。
計測機器なので、地面に落下させるとか、工具と一緒にガチャガチャ運ぶというのは、
当然ですが、御法度です。取り外した際はスポンジ等で振動を与えず、大事に保管してください。

最も大事なことはセンサー本体のヒーティングでしょうかね。

空燃比センサーは、センサー自体が発熱して排気熱に対応して空燃比を採取しています。
ですから、冷えた状態でいきなり排気熱を加えると、破損してしまう可能性が高くなります。

使用方法としては、先ず暖気の前にイグニッションをONにして、空燃比センサーに通電させます。
通電させると、ヒーター本体やエキパイが徐々に暖かくなってきます。

この時、モニター側では14.5とか15.2とかメチャクチャな数値が出たあと、
PLXでは上の画像のように「LEAN」(薄いですよ)と警告がでます。
*この場合、マップや燃調の薄さを警告するもので、センサー破損の警告ではありません。


空燃比センサーのヒーティングの事とか

そのまま放置しておくと、次第に「AIR」(ガソリン含んでないよ。空気じゃね?)と表記が現れます。

このころになるとセンサー本体も「熱い」と感じるほど加熱されており、ヒーティングもOKです。
この状態になって、エンジンを起動させればセンサー破損の可能性は、グッと低くなるでしょう。
*「AIR]表記がOKの合図ではなく、あくまで熱くなる目安。熱くなるのをまつこと。


寒い日の朝一は3~5分ほどヒーティングさせたあとエンジン暖気を始めるわけですが、
走行途中でピットインして、セッティング変更して出ていく際は、十分にセンサーは熱いのでヒーティングの必要性はありませんが、暖気を終えて走行スタートする前も、しっかりヒーティングして下さい。

じゃないと、1年で何回もセンサーを買う羽目になりますし、
センサーが破損したのに気づかず、再セッティングを繰り返して、セットをはずすなんて本末転倒です。

こういった作業が「面倒くさい」と感じるならば、セッティングの日だけ取り付けておいて、
レースの日は外しておけば良いでしょう。

空燃比センサーのヒーティングの事とか

このように、走行毎に数分のヒーティングが必要な計器ですし、
LEDとは言え本来のECU機能以外に多くの電気を必要としているので、
必然的にバッテリーは「リチウムイオン系」になってくると思いますし、鉛バッテリーだとしてもスペアも必要ですし、サブコン・フルコンに関わらずインジェクションマシンであれば走行する前の電圧は「最低13.2以上」は欲しいと考えています。

もちろん、メカニックやチームによっては13.4以上無いと走らせないとか、不安だから交換するという所もあります。スペアのエンジン、スペアのハンドルは沢山持ってても「スペアのバッテリーが無い」なんて、レース前の準備としてはちょっと物足りませんね。

インジェクションマシンは、全て電気で機能しています。
「バッテリーは、ついてりゃOK」なんてキャブ車の原付のような考え方は、言うまでも無いです。

エンジンが調子悪い!と急いでピットに行ってみたら、バッテリー電圧が12.3・・・・
スペアのバッテリーに交換してみたら、絶好調!・・・なんて事例は数年前はロードでも多かったのですが、最近はGROMユーザーさんが増えてきて、ECUコントロール以前にバッテリートラブルも多く、
かつ情報だけ耳年増になって、空燃比センサーつけてみたものの・・・という事も多いので、
あらためて、Blogに書いておきます。

この手順が正解とは言いませんが、計器も電気も「100%正しい」と勘違いせず、
得た情報を上手くかみ砕いで、速く走ることに役立ててください。

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