新型 NINJA400 パワーチェック行ってきました!

#441

2019年03月18日 17:19



2018年型NINJA400(P型)パワーチェック行ってきました!

コチラは、マフラー・ECU含めて「車両ごとセットアップ」をご依頼されてたマシンになります。

◆2018’NINJA400 ◆

エンジン:SUS441 フルOH+レーサー化セットアップ
マフラー:ARROW ssp300racetech+α
ECU:Woolich Racing+MOTO☆STAR仕様
AC-BOX:SUS441 低抵抗エアーエレメント



結果は、53.3PS/12000rpm!

エンジンOH後にヒートサイクル暖気+シャーシ慣らしだけで53psオーバー!!

ラム圧かフレッシュエアかけて、ダクトやファンネル交換+ECUセットアップが進めば、
軽く54psを超える実力を持ってるNINJA400ってやっぱスゲーっす!!


ECU&Mapは、MOTO☆STARさんと一緒に何度もシャーシに通って作ったもの。
ここからサーキット走行を繰り返して、アップデートを進めたらより良い性能が出るでしょう!


ホント、みんな作っている最中から「これ、ぜったい面白いマシンだよね!!」
と自分がライディングするとどーなるか?って妄想ばかり膨らんで、笑顔が絶えないお仕事でした。

エスエルのときもそーなんですが、思い入れが強くなり過ぎると、
お客様のマシンなのに「このマシン欲しい!! コレ乗りたい!!」ってなるんですよね~www
なんだろ。友達の女の子を推してたら、自分が惚れちゃったー!みたいなww

逆に、自分が乗りたくなるようなマシンじゃなきゃ、お客さまが笑顔になることなんてないですよね。
このマシンに乗って、お客様がヘルメットの中で笑ってもらえたら、作り手として最高ですね(^^)




エンジンメンテナンスの内容です。

クランクケースの形状はP型となった新型NINJA250と全く同じですから、
250の車体に400のエンジン!という80年代90年代のバイクブーム世代には、
夢あこがれる組み合わせです。




ミッションの遊星ボールを撤去して、シフトフィーリングが向上するのは、
Kawasakiエンジンの特徴です。
Kawasakiエンジンをレーサー化する場合には、必ず行っていた方が良い部分です。



250ではウォータージャケットがバスタブ状態でしたが、400ともなればスッキリ・ピッタリですね。

新型のピストンピンは、スラストクリアランスが殆ど無く、ピンクリップを入れるのに苦労します。
あと0.5mmでもクリアランス作ってくれれば、ピンも回転しやすいし良いと思うんですが・・・




動弁系も全て続投ですが、バルブシートカット&擦り合わせは、新車エンジンでも大事な作業です



ついにKawasakiもヘッドは「角度締め」になりました。
ヘッドが丈夫なので、応力抜きの手順は加わっておりませんが、
どうしても手順的にYZF-R25のように応力抜きで締めてしまいますねww



カムの組み付けはリフターを押さない位置での組み付けになります。
CBR-RRエンジンもそうですが、1番初めにYZF-R25で採用された方法で、
アセアンの人達が組み付けるための「ポカヨケ」として、考えた人は賢いな~と思います。

後は、バルタイ・タペクリをレース向きに調整して腰上は完成です。




そして、P型NINJA400の肝である「クラッチ強化」となります。



まず、一番大事な強化スプリングですが、これは特定年式のZX-6R純正品を流用します。

計測したところ、約10%ほど強化になっているので、高回転での滑りも無くなると思いますし、
繋ぎ初めの甘さは、これでかなり解消されるはずです。

*左がNINJA250純正、右がZX-6R純正



次に、スプリングシートを追加します。
純正は1枚だけですが、もう1枚追加してプリロードを掛けるようにします。

口を交互に向けるように2枚に組み込むことで、スライドの引っ掛かり防止になり、
握り始めの節度感が増し、リリース時のコントロール性が上がります。



そして、ここからはバックトルクリミッターの「効き具合の調整」になるのですが、
いままでのL型にも採用されていた「アシストクラッチ」は、全てメーカーの設定した仕様で走らなければいけませんでしたが、今回のP型からはスチールプレートの厚さ違いを「メーカー純正品」として設定されているため、リリース時のエンブレコントロールが可能となっております。

調整は、スチールプレート5枚のうち「中3枚」の厚みを変更することで行います。

標準は3枚とも全て「2.0mm」なので、エンブレをもっと効かせたい方は、3枚のうち幾枚か「2.3mm」のスチールプレートにすることで、バックトルクリミッターが掛かっている時間を短くすることが出来ます。
そして、細かく調整するために「1.6mm」という厚みも存在していますが、
まあ、標準よりバックトルクリミッターを長く効かせようと思う人は、コレを用いて「トータル厚さ」を薄くするように変更していくとリミッターが長く効き=エンブレが掛からないようになりますが、そのぶんクラッチが焼けやすくなりますので、スペアを準備しておく必要があります。

バックトルクリミッターとは、機械的に「半クラッチ」を作っているようなものなので、
あまり長く効かせようとしても、結果的にクラッチが焼けてしまう事になりかねません。

昨年のレースでは、標準設定の状態ではロングランでクラッチが焼けてしまう事例があったため、
今回のように「効かせない=強化」の仕様を探っていた訳です。



上記の仕様は、あくまで昨年末までにテストして頂いたライダーさんの評価によるもので、
クラッチの仕様が「コレで決まり!」という訳ではありません。
多くのライダーさん多くのチームの方に知って頂きたいので、部品番号も開示します。
NINJA400のセットアップにお役立てください。




NINJA400は、ラム圧のセットアップや、ダクトの処理などでもっともっと性能向上する要素があるので、とても素晴らしい素材だと思います。ECUもどんどん煮詰まって良くなると思いますし、楽しいマシンをドンドン楽しくしていきたいですね。



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