同じ150㏄という排気量ながら、似て非なるCRF150RとCBR150R
奇しくも殆ど同時期にメンテナンスを開始して、部品待ちのタイミングから、殆ど同時に完成した、両機のエンジンはとても興味深いものでした。
オイルフィルター付きで、エンジン・トランスミッション室を完全に分離した、
コンパクトかつハイパワーなコンペティブレーサーCRF150R
遠心分離機つきクランクでオイルフィルターを持たない、アセアン・アンダーボーンエンジンがベースとなっている、CBR150R
両者の違いは、シリンダーヘッドに大きく現われています。
ユニカムヘッドが特徴的で、さぞかしエキセントリックなエンジンと思われることが多いのですが、バルブは鉄バルブでステム径も一般的な4.5mm。
このエンジン、少しばかりヘッド周りの冷却と潤滑に難があり、ご欄のようにカムが焼ける事例が多いので、良いオイルを定期的に交換するのが「長持ち」の秘訣です。
*焼け色はでているものの、傷や摩耗が進行している訳ではないので、軽く面取りを行って続投します。
燃焼室もコンパクトではあるものの、特に際立った形状ではなく近年式の形状です。
腰下のミッションもコンパクトではあるものの、異質なシステムを採用している訳ではなく、モトクロッサー、エンデューロレーサーとして、軽量かつ耐久性に富んだミッションと、一般的なバランサー付き水冷シングルです。
それでも、ライバルを出現させない軽量・ハイパワーなエンジンは、
初期型から大きく変化せず、ロードレースのユーザーにも愛されています。
対してCBR150Rの動弁系は、パッと見て「極々ありふれた直打ツインカムヘッド」に見えますが、実はこのカム「カムキャリーASSY」とセットになっており、カムスプロケットホルダーをプレスで抜くなどしないと、カムとカムキャリーが取り外せない構造になっています!(驚
ASEANサイトで調べると、ハイカムなどはカムシャフトだけで売っており、
スプロケットホルダーは、あとからプレスで打ち換えてね♡という感じww
ポン組みに慣れてしまった日本人には、とうてい「組めない系」のアイテムでしょうね。
このエンジンはST150クラス用なので、純正カムのままです。
ピストンも、まあ一般的な形状ですね。
シリンダーは鉄スリーブで、アセアンガスケットから水漏れして錆びていたので、
今回は新品交換しました。
ところが、このヘッドに組まれるバルブは、大きさも殆どCRF150Rと変わらないくらい大きいのに、
ステム径「3.8mm」というエキセントリックな仕様(爆
バルブシートは、既にバルブフェースよりも大きく広がっていて、
シートカットは絶対に行わなくてはいけない状態!!
なのに!!!!そのエキセントリックなシートカッターホルダーは、12月頃からオーダーしても「入荷日未定」のままで、つい最近「納期連絡」がきたら、納期:4月後半(爆
それじゃあレースや練習に間に合わないだろう・・・という事で、
手持ちで持っていた「4.0mm」のシートカッターホルダーを旋盤で削ることに。。。
もったいないと思いつつも少しづつ研磨して、ドンピシャ(死語)に削ることができました!!
純正よりもガタが少ないホルダーで、ばっちりシートカット&擦り合わせを行い、
バルタイもバルクリもレース向けに調整出来ました。
そして、シリンダーヘッドカバーには「ありそうで無かった」
CBR150R用:2次エアーキャンセラー
鈴鹿のK&T 高田社長にお願いして作って頂きました!(*^▽^*)ww
これで、メクラ栓のゴムホースが破裂したり、スロットルオフでパンパンいわなくなります。
レースユーザー様も、一般公道で社外マフラーに交換している人も、お勧めですよ!
日本ではなかなか部品が手に入りにいCBR150R
某有名サイトでは一部の部品が供給されているものの、全ての部品は掲載されておらず、
今回のエンジンOH部品調達は、岡崎市の「崎田二輪本舗」様にご協力いただきました。
ありがとうございました。
同じ150㏄という中間排気量ながら、いずれも耐久性に富んだハイパワーエンジンとして、ユーザーの心を掴んで離さない両者。
軽量コンパクトで楽しめるエンジンて、ホント素敵ですね。
CRF150Rオーナー様
CBR150Rオーナー様
御依頼・御用命ありがとうございました。