YZF-R25のトランスミッションは、メインシャフト側は「2速ギアが圧入固定」されており、
2015に初めて見た時から「どうやってミッション交換するんじゃい!?」と思ってましたが、
今年もミッションギアを交換するような摩耗・破損しているエンジンはありませんでした。
浸炭処理のままと、ショット仕上げの「交互組み合わせ」のトランスミッションは、
とりあえず2シーズンほどレースで酷使しても、交換に至ることはないのでホッとしました。
けれども、このエンジンは「クランクケース剛性が不足しているのか?」
メインジャーナルのメタルが異常なアタリをしているのが、もはや「普通」になってきました。
特にオリフィスが入っている「中央メタル」が厳しい。
鈴鹿は昨シーズンから「4時間耐久レース」が組み込まれているので、
腰下含めたエンジンリフレッシュは、この耐久前後が肝になるでしょうね。
R25のエンジンでよく聞かれる「ピストン:セカンドランドのアタリ」=ピストンメッキ剥げ=焼き付きは、このエンジンでは皆無で、1シーズン走っても「ピストンのアタリが非常に良く」シリンダーも摩耗が少なかったため、続投しました。
オイル銘柄やオイル交換サイクルが遅いと、一気に摩耗速度が早くなる傾向なので、
オーナー様のオイルチョイスと交換サイクルは優秀だったといえると思います。
もちろんエンジンの使い方にも因りますが、ベテランだからこその「上手さ」もあるのでしょう。
こちらのエンジンは、ピストンは残念ながら摩耗限界に近付いていたので交換しました。
けれども、上記で示したメインメタルやミッションは「通常通り」な感じでしたので、
メタル交換を行い、馴染んだところは続投させ、必要なところは新品に交換しました。
YZF-R25アルアルですが、クラッチスプリングが異常にヘタります。
定期的な寸法測定と、組み込みの「倒れ」防止に
スプリングシートを入れることを推奨しております。
クラッチボス内側の凹みに対して、スプリングシートが入ることでスプリング座面が脱落することなく縮むため、スプリングの折れ曲がりや劣化速度を抑えることに効果があります。
もちろんプリロードも掛かるため、ノーマルよりも節度感が増し、キレが良いシフト操作に貢献します。
カムチェーンは、プレートのキンク=固着が現れたら交換です。
これも「ヤマハエンジンあるある」で、キンクが現れたら早めに交換しないと、破断の恐れがあるので、
YZF-R6もR25も、YZ450F/250Fも、エンジン全バラしなくとも交換できる構造になっています。
それと、今年注文したものからピストンリングが変わりました。
以前は黒っぽいコーティングでしたが、いま届く物はトップもセカンドも『茶色っぽい』リングです。
一見すると、両方ともトップリングに見えますが、
セカンドリングには“2T” トップリングには“1T”とマーキングされています。
これで、シリンダー摩耗速度の低減や、ピストン・セカンドランドの「アタリの強さ」が軽減されていると嬉しいのですが。。。
上記に示していずれも「レースに使うこと」で現れる現象であって、
街乗りの人たちに必ず現れる現象ではないと思うのですが、
公道において距離を走ったR25エンジンを1度も見たことがないので、何とも言えませんね。
次期R25がそのあたりを改善してきたのなら、再度250㏄クラスの主力になるでしょうね。
速さと価格、耐久性とパワーは、いつの時代もメーカー開発者を悩ませることでしょう。。。