
2機目のR6も完成しました。
このエンジンは、中古車として買われたマシンに搭載してあったので、既に動弁系が限界でした。
レーサーとしてのエンジンメンテは、やっぱり「動弁系」のコンディションチェックが重要になってきます。
もちろんメタルやピストンなんかも重要ではあるのですが、劣化と損耗を考えると、やっぱりヘッドが肝なんです。

チタンバルブを採用しているYZF-R6は、いわゆる「バルブ擦り合わせ」が出来ません。
バルブコンパウンドで、バルブ表面にコーティングされている耐摩耗性の高い表面処理が剥げてしまうからです。
ですから、ヘッドのメンテナンスは「シートカット」がメインになります。

シートカッターで軽くカットすると、画像のように「均一にカットが入らない」箇所が見えてきます。
主にプラグ周辺に見つかるのですが、これは熱歪でシートが変形してバルブとの隙間が生まれている証拠です。
これがあると圧縮が漏れてしまうため、高性能を発揮できなくなります。
コレがあってもエンジンが起動しないとか、そう言う訳ではないのですが・・・
いわゆる「走らない」という状況になります。
僅かな歪みであれば性能にも大きくは影響しない。。。とはいっても、ストッククラスのレーサーでは、
僅かな性能差が勝負の決め手となります。
時間はかかっても、しっかりシートカットを行い、最後にダミーバルブで軽く擦り合わせをして、
「シートのアタリ」を見たら、シートカット作業は完成です。。。。ざっと数時間は掛かるのですが、
それだけ重要な項目ですし、1つ1つ確実に作業してたら、時間なんてあっという間に過ぎていきます。

今までずっと練習用エンジンとして使ってきましたが、リフレッシュしてメイン機としても使えるよう、
今回は動弁系を一新しました。
ちなみに、YZF-R6のバルブは「チタンバルブ」なので、この1箱だけで軽く10万円は超えています(爆

また、消耗品であるヘッドガスケットもレースキットならば、1枚¥10,000円は超えますし、
クラッチ板も1セット交換するだけで2万円もしますし、これらレースキットはタイミングが悪いと数ヵ月入荷しないので、
在庫があるうちに数セット準備しておかなくてはならず、ST600に関わるということはエンジン屋も覚悟が必要なんです。

あとは、バルタイチェックとタペクリ調整を狙い値に決めれば、性能の半分以上は決まった事になります。

先に出来たエンジンも、動弁系の一新こそありませんがメニューは殆ど同じです。
いよいよ夏の祭典が近づいてきました。
スペア含めてもっと準備をしておかないと、祭を楽しめないでしょうね。
明日も頑張ります。