2017 SUZUKI GSX-R1000(L7) エンジンメンテナンス完了しました。
SUZUKA8時間耐久レースを含む、JSB1000クラスに参戦するエンジンです。
とても神経質なエンジンなので、御依頼頂いた時に躊躇しましたが、
人と人とを厚く・熱く繋げる力を持った方からの後押しもあり、御用命を受けるに至りました。
チームからのオーダーで、クランクシャフトは最新型に交換します。
オイル給油穴の面取りとラッピングを行いました。
仕上げは、やっぱりピカールですww
ヘッドは実績あるデータに従い、面研と圧縮比調整、ポートは段付き修正を行っています。
加工が終わったあと、シートカットと「捨てバルブ」で軽く擦り合わせ。
IN/EX両方のバルブを交換し、バルブスプリングも新品を荷重測定し、
フルリフト時の荷重が低いものは弾いて、均一な物だけで組み込みます。
4輪のピストンに近いヘッド形状です。
アッパー側とロア側でメタルが違う、コンロッド
YZF-R1といい、1000㏄クラスは独特の設計が多いですね。
カセットミッションと独特なレイアウトのクラッチ周りです。
同じカセットミッションを採用するKawasakiよりも遥かに軽いエンジン重量
どのメーカーと比べてもシンプルで部品点数が少なく、合理的。
レーサーベースであるのに、良い意味で市販車のコスト意識を色濃く反映させているSUZUKI
SUZUKI独自のシンプルなリーフスプリングを用いた可変バルブタイミングシステム
中低速向きのバルブタイミングから、高回転時により高速向きなタイミングに移行します。
それまでの直打に対し、ロッカーフィンガーフォロアーな動弁系です。
組んじゃうと見えないっすねww
最後にGSX-R1000を組んだのが鉄バルブだったK5あたりなので、ずいぶん間が空きましたが 600㏄並みの小ささと軽さにあらためてSUZUKIの優位性を感じた今回でした。
1000㏄クラスはどれもトレンドな機構を投入し、パワー競争も過熱しているクラスなので、
どのメーカーも少なからず「限界ギリギリな設計」であり、トラブルも少なくありません。
それでも、どのエンジニアも神経を尖らせてこのクラスのエンジンを維持して全日本を追っているのですから、正に心血注いでマシンを動かしていると言っても過言ではありません。
完成したエンジンが届いても、搭載やセットアップ、ECUのマッピングなど、
チームではまだまだレースまでに残された仕事が多く残っています。
たいへんお待たせ致しました。
御依頼・御用命ありがとうございました。