
事の発端は、kawasaki純正ヘッドが廃盤になった事。
ヤフオクでも新品以上の価格で中古が取り引きされ、それでも出物が極端に少ない。。。
お預りしているエンジンでも、「ピストン焼き付き」と聞いて預かってみたら、
クランク破損で破片がヘッドまで壊してグチャグチャ・・・なんてのも珍しくなく、
生産終了間際に買っておいたヘッドも底をつきそうになり・・・・というときに知ったのが
オランダに拠点を置く「VHM」という2サイクル専門のチューニング会社。
そこに自力でアポイントしてヘッド製作まで漕ぎ着けた・・・と言う方がアテンドして頂き、
外部担当者という方とメールでやり取りを続け、此方からナケナシの「純正ヘッド」を送ったり、
自分で作った「SUS441:強化対策ピストン」を送ったり、寸法を指示したり・・・
何度も挫折しそうなやり取りが続きましたが、なんとか・かんとか試作を受け取るまで辿り着き、
さらに燃焼室を変更したり、プランを修正したり、追加加工をお願いしたりと、
ずーっとGoogleの翻訳ソフトを駆使して、なんとか製品を受け取るまでにいたりました。

そこから、各排気量(80用と72㏄用があるのです!)とチューン内容で容積を変更。
さらに、市街地走行やサーキット走行でテストをしてくれる方に託し、
一定距離数を倍掛けした数値で耐久テストとして評価を行い、
「これならイケるだろう」と私自身が納得したタイミングで、ようやく発売開始に至りました。
VHMのヘッドバリエーションは既に300機種にものぼり、
製品のクオリティも耐久性も実績も申し分ないのですが、
やはり「来たもんを評価無しでポンと届ける」なんてこと出来ませんから、自分自身で組んで走らせて、分解チェックして納得いくまで、こんなに時間が掛かったという訳です。

VHMの特徴である、分解式ヘッドの「インサート」と呼ばれる別体式「燃焼室」です。
仕様によって5種類のインサート(燃焼室)を用意しました。
・VHM-007 KSR-2 STDヘッドKIT
Kawasaki純正ヘッド最終型と同じ燃焼室容積であり、サイレンサー交換・CDI交換等、ライトカスタムには最も相性の良いヘッドです。
容積比は同じでも、アルミ7075フル切削により燃焼効率・冷却効率が格段に向上しています。
ダウンチャンバー、ストリートチャンバー、弊社ST-1加工シリンダーにもマッチします。
・VHM-006 KSR-2 ハイコンプヘッドKIT
レース用ヘッドです。弊社チューニングシリンダーST-1/ST-2加工+レース用ダウンチャンバーの組み合わせに最も適しています。
ハイコンプである理由は、排気効率を向上させたポート形状や排気系のセッティングに2次圧縮を上げて合わせる目的です。
・VHM-005 KSR-2 ハイコンプヘッドType2KIT
レース用ヘッドです。弊社チューニングST-3加工+レーシングダウンチャンバー用です。
KRSチューン、KRSレーシングチャンバー等の組み合わせを目的としています。
高回転型ポート、高回転型チャンバーに合わせたヘッドです。
ストリートチャンバー、アップチャンバーには圧縮が高すぎる傾向です。
・VHM-003 KSR-72 STDヘッドKIT
50㏄ボアアップの72㏄仕様に適した燃焼室容積・形状をしています。
弊社super72シリンダーに合わせていますので、他社製KITに使用する際はご注意願います。
・VHM-004 KSR-72 ハイコンプヘッドKIT
50㏄ボアアップのレース用72㏄仕様に適した燃焼室容積・形状をしています。
弊社super72レーシングシリンダーに合わせていますので、他社製KITに使用する際はご注意願います。

とまあ、シリンダーヘッド作るのにも情熱と「多大な予算」が必要だったわけで、
超がつく零細企業を営む私には、ほんと清水の舞台から飛び降りる覚悟が必要だったのですが、
出来上がったものを見て、復活できなかったエンジンが甦るとなると、喜びもひとしおです。
開発段階からFacebookでチョコチョコと経過をしらせていたお陰で、
嬉しいことに販売前にご予約や購入予約をしてくれるお客様がいて、
早く評価しなきゃと、今日は色々と計測していました。
そんなこんなで産み落とした、勾玉の逸品「VHM製 KSR-2ヘッド」買ってね
これで、先ずはヘッドは確保した。
あとは…コンロッドかなあ。。。。(^^;)