ST仕様:KSR110エンジン完成

#441

2018年03月12日 15:37



長らくお待たせしていた、KSR110エンジンは昨日お客様にお渡しできました。

「ストッククラス(STクラス)で、HONDA勢に一泡吹かせてやりたい!」とご依頼されましたのでww
鈴鹿ミニモトST-KSRクラスで連続優勝したデータをそのまま踏襲させ、
レーシングハーネスや強化イグニッションコイルまで、全て我々と同じ仕様で組み上げました。

ストッククラスなので、削ったりハイカムにしたり改造はできないため、
地味で細かいことの積み重ねと、各部の組立て精度を上げていく作業になるため、
まあ・・・見た目は何にも変化ないですけどねww


長くお待たせした理由の一つに、ミッションギアの破損→交換が伴っておりました。

まあ、最近は本当にカワサキ純正部品の「長期欠品」「入荷日未定」が多くて困ります。
純正部品や生産国をタイやインドネシアに切り替えているため、純正部品も「輸入品」なんです。
ですから、注文して「あればラッキー♡」「無ければ、1か月以上待つのは普通」なので、
分解してから部品を頼んでもナカナカ来ないので、消耗部品は在庫するようにしているのですが・・・
さすがにミッションは新品でもっていませんでした(泣



今回届いたピストンは、以前のものとは少し仕様が変わっていました。

ピストントップの形状(鋳型)がシャープになっていましたし、オイルリング周辺の形状が変わり、
(たぶん。。。)首振りの打音対策として、切削プログラムも変更になっていると思います。

吹き抜け対策も、リング張力だけに頼らず、ピストンが熱膨張した後の形状も気密性に貢献しているのではないかと思えるため、個人的に今のこの形状のほうが性能が出るのではないかと思ってます。



バルタイもバルクリも、我々の仕様と全く同じです。
カムプロフィールも変な物ではなくて、ごくごく一般的な数値でしたから、
それらを揃えてあげれば、まあまあな性能は発揮してくれると思います。
たぶんww


よく「レース用のエンジンて、凄いレスポンスなんですか!?」と聞かれることがあるのですが、
KSRレーサーの場合、性能を求めタイム短縮を考えて選んだ仕様は「全く逆」で、

「ドォン・ドォォン!」と、牛のようにモッサリした、ドコドコしたフィーリングのエンジンになっていきます。

もともとのエンジンがレーサーXR100R(CRF100)で、ポートもデカいAPE/XR-Mと違い、
元はタイカワサキで庶民の足として活躍した、カブ形状のバイクなんです。
STクラスのエンジンが、スーパーハイレスポンスのマシンになんてなるわけがなく、
全国行脚で活躍した、オリジナルフレームのKSR125ですら軽量クランクなんて使わなかったのです。



これが、タイカワサキの「CHEER112」  僕の通勤車両ですww

ね?カブでしょ(笑


こんなのとかww



こんな使われ方をする、そーゆーバイクなんです。

ですから、もともと生まれた素性を生かし、トルク型のフィーリングにしてやると、
どんどん車速が伸びていきます。

APE/XR勢が9000回転じゃねー1万回転じゃねーと言っているのを横目に、
KSR110は、7500~8500rpmのトルクを生かして、ロングファイナルで走ると、
ギャンギャンに回して乗っていた時よりも、スルスルと前に進むのが判ると思います。

トルクピークが6000rpmと低いマシンなんですから、回したって前に進まないんです。

感覚で乗っている人も、スピードメーターで車速を確認したり、ロガーで計測すると、
自分が思っている以上の速度差に、愕然とするはずです。

ぶち回して、リアサスがドカンと入ってコーナーリングするよりも、
ロングファイナルで、ドコドコ低い回転でサスを沈めないほうが、よっぽどコーナーリングが楽で、
なおかつ「スピードが速い=コーナー全体のタイムが短縮している」と知ることができます。

最高回転数も、ピークの8800rpm以上はトルクが薄くなって車速が伸びないので、
3速で走るときは、そのファイナルで「4速に入れると、何回転になるか?」を知っておき、
回転が高い=速いはずだ!・・・という考えを打ち捨て、車速で考えるようになると、
今まで14Tで考えていたスプロケが、15Tメイン16Tも有効的に・・・となってくると思います。

試しに騙されたと思って、ノーマルスプロケット(15-31)で走ってみてください。

はじめは慣れないと思いますが、意外やそのままでもベストタイムと変わらなくなり、
そのうち慣れると、ショートファイナルよりも楽にタイムを更新できると思います。

KSRは、トルクで乗る! 忘れずに。

ご用命、ありがとうございました。




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