モータースポーツを応援する、エンジン屋@SUS441のブログ

クランク オーバーホール

クランク オーバーホール

各地のレースが最終戦を迎え、エンジン屋的に12月~3月までは「メンテナンス・シーズン」となります。

単体でのエンジンOHはもちろんですが、趣味でエンジンを分解・組み立てている人のお手伝いも行っています。

例えばシリンダーヘッドなどは、よく聞く「バルブすり合わせ作業」って本当は「バルブシートカット」を行って、
バルブとシートの当たり面がキッチリ出ていることが前提で、さらに気密性を上げるために行う作業です。
もちろんヘッドやシートが歪んでいなければ効果はあるでしょうが、空冷ヘッドは「ほぼ歪んでいる」状態なので、ヘッド単体でメンテを受付けているのですが、やはり「手が出せない部品」の筆頭と言えば、クランク でしょうか。

一番奥の右は、KS80のクランクです。
基本的に「AR80系エンジン」は、年間20機以上メンテしているKSR-2系エンジンとは「ボアストローク」も違えば、
コンロッド長さも、クランク外径も、全く違います。
ですから、純正部品で手に入る「KSR系コンロッド」が使えず、部品単体も廃盤なので「社外品」を使います。
外国メーカー製もあるようですが、国内の「もともと純正品を製作していた会社」のOEM品が手に入りますから、
社外品と言えど「ほぼ純正」みたいなもんなんで、ガスケット調整も不要で、安心してリビルドしています。


その手前の「APE100系クランク(XR100やNSF100も同じ)」は、厳格なレギュレーション下で行われるストックレース(HRCトロフィーや、まるち杯等)のSTクラスには「ノーマル品」であることは該当しないためお勧めしておりませんが、
それ以外の草レースでも使用許可が下りたところもありますし、モテギのDE耐や、筑波の茶耐、
それに今日行われたHSR8時間耐久レース等の「100cc 改造クラス」には、
多くのユーザー様が弊社のリビルドクランクを使われております。

クランク オーバーホール

その隣は、ここ最近盛り上がりが再燃している、モンキー・ゴリラ・CUB系エンジンのクランクです。

昔は純正部品でリビルド可能だったのですが、全て廃盤となっているので、コチラも純国産の社外品を使います。

コンロッドやクランクピンが生きていれば、大端ベアリングの交換のみでリビルド可能なんですが、
この小さなエンジンで、100㏄オーバーの排気量まで上げちゃってるパワーで、ほぼほぼ「フルオーバーホール」です。
*フルオーバーホール=コンロッド、クランクピン、大端ベアリング、サイドベアリングを交換すること。

それに、武川さんやKITACO製クランクも、年式によってピン径やコンロッド長さがバラバラなので、
デフォルトを作ってしまって、今のエンジン部品が組めない!という人からも、昔のクランクのリビルド依頼があります。

モンゴリ系エンジンは「作っていく過程が楽しい!」という人が多いので、色々な年式のクランクを見ますが、
なんとかコンロッドが見つかってエンジンが再生されたと聞くと、エンジン屋としても嬉しい限りです。
趣味のエンジン製作も、お手伝いいたします。

明日も頑張ります。



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