YAMAHA YZF-R6 (13S) エンジンメンテナンス完了しました。
この工場に越してきてから、ずっとお世話になっているレースチームの「売却車両」メンテナンスです。
この時期になると、来年用のシーズンオフメンテに加え「売却するため」のメンテナンスも入ってきます。
マシンを売却する際に「シッカリした状態で手渡したい」というオーナー様の御依頼だったり、
オーナー様より「原状渡し・メンテが必要ですと言われたので・・・」という御依頼もあります。
今回は、オーナー様と購入者様と一緒に御来店頂き、納得の内容で取り掛かりました。
それは誰だって「オーバーホール済み」の車両を安価に手に入れたいと思っているでしょうが、
シッカリ手を入れれば、それなりの金額になるでしょうから、売却金額もそれなりに上がります。
新品でもない限り「どの程度手が入っていたか?」と不安になるくらいなら、
オーナー様とシッカリ話したうえで、両者納得の上でメンテを依頼するというのも、
賢者の選択だと思います。
分解して見たところ、ミッションギアが数個傷んでいたので交換しました。
柔らかめのオイルを選択して、ロングランすると途端にドッグ&ホールが傷みます。
R6であれば、10w-40を基準に鈴鹿4時間耐久などは15w-60をチョイスすることもあります。
暖気に少々時間が掛かっても、走行枠の後半にギア抜けを起こしたまま走っていると、
シフターを使えばあっという間にドッグ&ホールがナメてきます。
シフターセッティングも「硬い」と感じたらNGで、いとも簡単に入るようセッティングして下さい。
いつもケースを閉じる瞬間よりも、オイルパンを閉じるときの方がドキドキします。
なんか「奈落の底」って思えちゃって、はやくオイルパン閉じたいのに、いろいろ確認しておきたい。
オイルポンプチェーンの掛け間違えとか「無いよね~??」って狭い隙間から覗いたりww
ピストンも強いアタリは出ていなかったものの、ピストンピンホールの状態やトップの状態から、
新品に交換しました。
ST600にコンバートしたライダーが、一番初めにビックリするのが『エンジンブレーキ』です。
ですから、一番初めにセットアップ図るのも『エンジンブレーキシステム』です。
YZF-R6では2006~2018年型(2019年型も)、クラッチセンターを2C0に交換することで、リーフスプリングは2C0も1JSも両方使え、コイルスプリングはYEC-kitの他、STDにスラストシムを追加する特性を好む人もいれば、交互に組み合わせるパターンもあります。
フリクションディスクはキットではなくとも、STDでもリリース特性は悪くはなく、要はディスクのトータル厚さで『エンジンブレーキ』を自分好み(ライダー好み)を見つける事が大切だと思います。
これら機械的な仕様が決まったら、ECUコントロールでコースや特定コーナーに合わせ込みます。
2019年型は、今まで以上にECUコントロールでエンジンブレーキの調整幅が広がりますが、やはり機械的仕様を決めてから、取り組むのがベターかと思います。
シリンダーヘッドは、バルブシートカット&擦り合わせ
けっこう燃焼室用容積が揃ってる、良いヘッドでした。
バルブシートの砂噛みやカーボン噛みが無く、シートカットが安定していると
タペットシムも揃ってきます。
バルタイを確認し、シッカリ1-4,2-3、左右バルブのタイミングも確認します。
いよいよ来年は高性能ECUを積んだ新型R6が本領発揮するシーズンですね。
エンジン本体は熟成ながら、広範囲をカバーするECUセッティングと、
YZF-R1から受け継いだ新型フロントフォークのセッティングが出てくると、
直線番長のZX-6RRや、コーナーリングマシンのCBRにも後塵を浴びることはないでしょう。
けれど、高性能ECUが無くとも熟成の2C0、13Sは、とても良いST600エントリーマシンです。
シッカリとメンテナンスして、2019年シーズンに備えて下さいね。
御用命ありがとうございました。(^^)