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【愛蔵版】 NINJA250SL レーサー化セットアップ

【愛蔵版】 NINJA250SL レーサー化セットアップ

ここ最近、NINJA250SLで「〇〇のレースに出ようと思います!」と言うお問い合わせが続いておりますので、この冬にNINJA250SLやZ250SLを購入して、サーキット走行、スポーツ走行、ジムカーナ走行を計画している人たちのために、今一度「レーサー化」の内容を整理しておきたいと思います。






【愛蔵版】 NINJA250SL レーサー化セットアップ

先ず、買ってきてスグに取り掛かって欲しいのが、リチウムイオンバッテリーです。

は?と思うかもしれませんが、今後マフラー交換+サブコン&フルコン取り付けて、
さらに空燃比センサー、空燃比メーターを取り付ける・・・ともなれば、
十分なバッテリー容量が必要になってきます

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中古のバッテリーで騙し騙し・・・なんて、キャブ車のスクーターで止めといてくださいww

昨今のインジェクションマシンはバッテリーが命綱ですから、
放電に強く、安定した高電圧を供給できるリチウムイオンバッテリーは、必須アイテムです。
*信頼あるメーカーを選びましょう。


それに、リチウムイオンバッテリー化は「軽量化」にもなるし、
なにより小型化して「吸気効率を上げる」ことも出来るんです。

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ノーマルバッテリーの前には、エアクリーナーの吸気ダクトがありますが、
この周辺が狭いと吸気が妨げられます。

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小型化すると、ダクトの周囲に空間が生まれ、さらにシート下からの開口部が顔を出し、安定した空気量を確保できます。

【愛蔵版】 NINJA250SL レーサー化セットアップ
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エアクリーナー関係は、純正のスポンジを取り外し、目の粗いレーシングエアーエレメントに交換します。
取付は、何も塗らず、内側のメッシュは残して組み付けます。

街乗りユーザーさん中心に、有名社外メーカーのエアクリーナーは「湿式濾紙」のことが多いのですが、
交換時は良くても、使っていくとスグに目詰まりを起こしてしまうのに、洗ったりエアブローで清掃できないことがネックなので、サポートでドンドン交換できる人以外は効果もコストもメリットが少ないと感じます。
*新品時のシャーシグラフが長く続く無いという意味です。


どうしても気になる、長~いエアクリーナーダクトですが、スリップオンマフラーや、ノーマルのツルシエンジンのままなら取り外したり、カットしない方が性能は出ます

何度もシャーシテストを行いましたが、カットしたり取り外したりすると、レスポンスは吸気音拡大と共に上がるのですが、シャーシでは中間域に谷が出来て、少しピーキーな性格になります。

ヒステリックさが「速くなったかも」と錯覚しやすいので、レーシングエンジン、レーシングマフラー、レーシングECUで武装していなううちは、ダクトはノーマルからスタートしてくださいね。

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吸排気繋がりで次に重要なのが「2次エアーキャンセラー」です。

これは、K&Tさんで売っているものです。
取り付ける際は、必ずエンジン側にある「リードバルブ」を残して、ホース側の蓋だけ交換してください。
単なんる板っきれを売ってる人がいますが、あのまま取り付けると排気の勢いでアルミの板が割れます。

エンジン側の蓋を交換したら、ホースをたどると「サーボモーター」に集約されていますが、
このサーボモーターはカプラーごと残して、エアクリーナー側に向かうホースも取り外し、
入り口付近でカットして、付属のグロメットでメクラをしておきます。

サーボモーターを残さないと、起動時に純正ECUがエラーを起こすので、残しておいてください。

K&T様では、ハンドルストッパー他レース用アイテムがいくつかリリースされております。

バッテリーの流れから、吸気関係、2次エア関係ときたので、
そろそろミンナ大好きマフラー関係に行きましょうかね。

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ハッキリ言って、マフラー関係は自身の好みとか、好きなメーカーで選んでいただくのが一番良いのですが、既に絶版して5年も経過しているし、さほどビッグヒットしたモデルでもないので、そろそろ廃盤になっているメーカーもチラホラあるようです。

ましてや、レース用マフラーをリリースしているトコロは少ないので、
SUS441では大阪のWR'S様にお願いして、レーシングマフラーを製作いただいております。

私が考える「仮想ライバルマシン=CBR250R」と比べると、
NINJA250SLは高回転の伸びは抜群なのですが、なにせKawasaki トルクが無い。

ストレートで抜くことは出来ても、コーナーで前を走られると立ち上がりでは抜けず、インフィールドでは豊かなトルクを武器にバトルで優位に立ち、立ち上がりでは離される・・・そんな弱点をカバーしてくれるのが、中低速トルクとレスポンスを向上して、高回転の伸びも両立しているWR'S製マフラーです。
*現在SUS441では、今期受注生産分を受付け中です
*納期は12月後半~1月前半です
*直接WR'Sさんからは購入できません

また、先にご紹介したK&T様でもレーシングマフラーをリリースされていますし、
多くの方が思い思いのマフラーを選ばれていますので、先日のブログを参考にしてください。

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ただ、ジムカーナ競技をされている方の中には「JMCA対応品じゃないと、競技受付できない」という事もあるらしいので、そのあたりは御自身で主催者側に問い合わせてみてください。

ちなみに、私は車両を買ったときについてきたBEAMS製スリップオンを街乗りで愛用しています。
純正ECUのままコントロールなしで乗っても、明らかに純正よりもレスポンスが良く、トルクが出て乗りやすくなっています。それは、サブコンやフルコンを取り付けても変わらない印象で、多くのユーザーさんも愛用していることから、数あるスリップオンの中でも評価は高いと思います。

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ここまで進んだら、サブコンを選ぶ時期かと思いますが、
とりあえず、いちばん安価で安定しているのが、KITACO製のi-mapです。

市販で15000円以内で、これだけ汎用性が高いものは無いのですが、
純正ECUのマップをオフセットしているため、どうしても「応答遅れ」があるのは否めません。
安いので仕方が無いのですが、ツルシMAPが5枚くらい入っているし、
PCとシャーシでオリジナルMAPを作ることも可能です。

ただ、純正ECUを使っているので先ほどの「起動時エラー」やO2センサーエラー、
そのほか、純正ECUが起こす「エラー」が起きると、セーフMAPを読み込んでしまうこともあり、
レースで使うには、ちょっと能力不足です。

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それ以外の高性能サブコンは、とっかかりとしては難しすぎますし、独特のエラーもあるので、
フルコンすることが推奨なのですが、残念ながら今は「世界的な半導体不足」で、
絶対性能を確保できる「aRacer」は、RCmini5もSuper2も長期欠品中です。

この部分は、解消されたらまた記事を追記します。



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車体的には、やっぱり何といってもリアサスペンションでしょうね。
GEARS、NITRON、OHLINSと各社サスペンションメーカーでNINJA250SL用がリリースされていますが、先ずは初めの一歩的にお勧めなのが弊社取り扱いの「Kicksスプリング」へ交換することでしょう。

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純正の「初めは硬いのに、ペース上げていくと奥で腰砕けになる・・・」というスプリングから、
初期で入りやすく、奥で踏ん張る「いい仕事をするサス」へと変貌します。
スプリングだけで「こんなに変わるんだ!」と体感してほしいですね。

この「使えるリアサス」「リアショックが仕事をする」足回りになったら、フロントフォークのオイルを交換してみましょう。

純正のフロントフォークのオイルは、ホントに#10??と、多くの人がコメントしていますし、
実際にマニュアル通りに、純正オイルに交換するだけで、かなりハンドリングが良くなります。
そこから、油面をあげたり、粘度を#12.5や#15に変更したり、プリロード調整を行っていって、
オリフィス加工やスプリングの変更を検討していっても良いでしょう。

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プリロードアジャスターは各社さんがリリースされていますが、NINJA250(2気筒)のフロントフォークとは外径こそ同じですが、内径が違うのでNINJA250SL専用品を選ぶようにしましょう。

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ハンドルも数多くのメーカーさんがリリースされていますが、確認出来る範囲では
2020年度のMFJレギュレーション対応品は、バトルファクトリーさんの物に限られます。
ただし、NINJA250SL専用品ではないので、多少の調整は必要ありますが、
レースでは、ポジション(垂れ角度)も重要なので、先ずは御紹介しておきます。

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それに、バトルファクトリーさんではNINJA250SL用の「フロントスタンド」もリリースされていますし、
ステンレスのリアスタンドであれば、YZF-R25用がエスエルに使えます。
どちらも鈴鹿をはじめ全日本でも多くの支持を得ている、軽量で美しいスタンドです。

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NINJA250といえば、大阪のPENSUKEさんも多くのエスエルパーツをリリースされています。
ハンドルは、NINJA250ユーザーさんの中では最も多いかもしれません。

ハンドルの好みは人それぞれなので、先端が抜け止めが付いているか否かも含め、
好みの物があれば、直接メーカーさんに聞いてみると良いでしょう。

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ブレーキディスクは、NINJA250、NINJA250R、NINJA250SLのニンジャシリーズの共通の弱点です。

ハードにブレーキングを行うロードレースでは、安物のリジットディスクがヒートして曲がったり、
ブレーキが効かなくなったりと、かなり危険な目に遭います。

まあ、街乗りではほとんどない事例なので、走行スピードが高いレースだからこそ出る問題であり、飾りじゃなく本当の「レーシング・ブレーキディスク」が必要になってきます。

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私のお勧めは、NECTO製:レーシングブレーキディスクです。

日本でも一番ハードなブレーキングと言われる、モテギのダウンヒルや、岡山国際の裏ストレートヘアピンでも根を上げず、シッカリと効力がキープできる本物のブレーキディスクです。
特に初期制動から効力を立ち上げるので、短く鋭いブレーキングが必要なコースでは、絶大な支持をています。

ブレーキパッドは、エンドレス製のほかZCOOが相性が良いようです。

反対に、効きすぎるリアブレーキは、純正よりも効かないパッドを選んだり、
パッドを加工して効力を弱める人が多いかもしれません。

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パッドの削り方は様々ですが、以前のNS50Fの純正パッドのように、非対称加工を施すとフィーリングが良いようです。

このリアブレーキが効きすぎる問題の解消法として、バックステップに交換することで、
純正のレバー比から外れて、効きを弱くしているメーカーさんも多いです。
単純に、同軸にするとよく踏まないと効いてこない・・という訳です。

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バックステップも各社揃っているので、好みの物を選べばよいと思うのですが、
個人的に「穴がイッパイあいていて、2枚のプレートで構成されている」ステッププレートが嫌いなので、
私は1プレートのダックスコーポレーションさんの物をチョイスしています。

ポジションは人それぞれ好みがあるのですが、合わなければ自分で作ったりオーダーすることも出来るので、1プレートのほうが作るのに楽だし、なにより2枚組のオフセットプレートは、どんどんステップじたいが広がる方向なので、ライディング時のホールド性にも問題が生まれやすいと感じます。

まあ、何度も言いますがハンドル同様に「好み」もありますので、好きなものをチョイスしたらいいアイテムです。

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リアスプロケットは、NINJA250、NINJA250R、NINJA250SLのニンジャシリーズの共通です。
もっと言うと、YAMAHA YZF-R25ともボルトのスパンが共通なので、SLで探して無くても、
R25やNINJA250で調べると、いろいろなレシオが使えることになります。

SUNSTARさんやISAさんが強度・実績ともに高い評価を得ていると思います。


いぜんレースで使えた「415サイズ」ですが、JP250で使用禁止になってから数が激減したので、
無いT数が存在します。

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・・・という訳で、チェーンは個人的な好みでDID推しです。
それ以前のモデルでも好きだったのですが、現在の250㏄クラス専用チェーンと言うとこが素敵です。
軽量であり高耐久性を誇る、スポーツ走行・レース向けなチェーンです。
*私はDIDのサポートでも無いですし、販売店でも無いです。


ちなみに、SLのリアホイールは「ハブダンパー」が入っていない、ダイレクトホイールなのですが、
減速時のショックを和らげるために、1ランク上のERV3を使ったこともあります。
意外や、手で回したときは重いかな?と感じたのですが、乗るとそのスムーズさに感動します。

ノンシールチェーンが「ガチャガチャ」とリアが暴れるいう場面でも、滑らかに減速することに驚きます。
手で回すよりもはるかに高回転で回すために必要なチェーンですから、剛性があっても損は無いのです。
リアショックの調整をしても、リアがドドるとき、ちょっと思い出してみてくださいね。

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スポーツ走行を繰り返し、ペースが上がってきたら、そろそろ「クラッチ強化」を考えてみてください。

エスエルはKLX250やD-trackerよりも性能を出しているのに、クラッチはほぼ共通です。
特にロードレースで性能をドンドン上げていくと、ストレートの最高速付近で「パルス滑り」という現象が起きてきます。 パワーにクラッチが負け、波打つようにスピードがそれ以上上がらなくなるので、そういう場合には強化クラッチスプリングに交換しましょう。

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少し設定が硬めなので、交換するのは6本のうち3本だけ。

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300㏄化したり、ハイカム&ヘッドチューンを行ったOPEN仕様なら、6本交換します。

KLX250やD-trackerなら、クラッチのカバー・カバーを外すだけで交換可能ですが、
NINJA250SLの場合は、ウォーターポンプカバーやインペラーを取り外す手間もあるので、
サービスマニュアルを持っていない人は、ショップさんにお願いしましょう。

さらに、経験を積んでパワーアップを考えるようになってきたら、先のaRcerのフルコンや、
エンジンオーバーホール、ハイコンプピストン組み込みや、ハイカム組み込み等を検討したらいいでしょう。

何事も「ハイエンド」が良いわけではありません。

少しづつステップアップして、ケガ無くモータースポーツを楽しんでいってください。

この内容は、少しづつ随時更新されます。 たぶん(笑


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