
初年度から数えて、まる10年選手となったK型Ninja250Rエンジンですが、
いまだにサンデーレースでは「丈夫で長持ち(ライフ長い)」「トルクフルで乗りやすい」と、
多くのユーザー様に支持される名機です。
アジアや日本各地の地方戦で多くの2気筒250㏄レーサーが走っていますが、
その先駆けであり、このクラスの近年のベンチマークであり、入門マシンです。
丈夫といっても、走行ごとにオイル交換をシッカリ行って、エアクリフィルターの清掃も行い、
年に1回であるとか耐久を走った後とか、定期的なオーバーホールを行ってこそ、
ベースを同じくして何年も走れる丈夫さを持っている・・・という話。
オイル交換も稀で、乗りっぱなしでもOKという意味ではありません。

分解してみると、K型ニンジャ「あるある」の#2IN側のスカッフ
「焼き付き」とまでいかずとも、潤滑不良を起こして縦傷も多く、いわゆる「ダキツキ」状態。
こうなってしまうとフリクションも増え、パワーダウンを余儀なくされます。
これは、同一機種であるK型の最終型ピストンを組み込めば、そのあとは殆ど起きません。
もしかすると、当初のピストンとはプロフィールが変わっているのかもしれません。

ピストン・ダキツキとは直接関係ないと思うのですが、
EX側で一ヵ所「コッター割れ」が起きていました。。。と同時に、シムやリテーナーもNGです。
あわやEXバルブが燃焼室に落ちるところでした。。。
此方が正常な状態。 角が綺麗に出ているのが判りますか?


目立つ破損はこの2か所ですが、それ以外にも劣化・損耗している個所も多く、
定期的なOIL交換は行っていたと思われますが、メタルの傷も多く、張力落ちもあったため、
メタル類はほぼ全数交換。
トランスミッションは遊星ボールを撤去して、シフトフィーリングを向上させます。

クラッチの焼けは無かったので、すべて続投。
弊社アイテムの「クラッチスプリングシート」を入れてプリロード調整と操作性を向上させます。

スプリングは、定番の「NECTO強化クラッチスプリング」です。

ピストンは先に説明した、K型の最終型を投入。
シリンダーヘッドは、トラブルがあった個所以外のバルブは続投。
バルブスプリングも、K型の最終型を使用しています。
レースで実績あるタペクリ調整と、バルタイチェックを行って完成です。
夏も近づき、各地で耐久レースがあると思いますが、TOPを走るRR勢やYZF-R25などは、
頻繁にメンテしないと「ウサギ」としてその位置をキープできませんが、
K型はランニングコストと乗りやすさで「カメ走法」を選び、最後に追いつく作戦です。
